-15-
炬燵(こたつ)寝の猫に追われし足と足
-14-
肉球をまぶたに借りる日の盛り
-13-
時雨来て車の下の眼の細る
-12-
深秋(しんしゅう)の視線離さぬ溝の猫
-11-
猫の手の賀状のネズミ(とら)まえり
-10-
春風の「ねこふんじゃった」運び来ぬ
-9-
猫の耳眠りて動く秋の声
-8-
蟷螂(かまきり)の立って子猫の爪かわす
-7-
猫の恋威嚇(いかく)の声に変わりたる
-6-
足元に猫の擦り寄る十三夜
-5-
声帯を得たるとまどい猫の恋
-4-
赤ちゃんの声に応えしうかれ猫
-3-
物の怪の真夜まよ駆け抜ける猫の恋
-2-
猫呑んで(まなこ)を得たり木下闇(こしたやみ)
-1-
塀に添う猫背忘れし猫の恋