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ペダル踏む裾に春風捕(とら)まえり
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我が影の踏み荒らしゆく蝌蚪(かと)の国 　　　　　　　　　　　　　　　　　蝌蚪(かと) ：おたまじゃくし
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我が影に一尾二尾(ひとおふたお)と蝌蚪(かと)戻る
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陽の触れて梅に岩戸の開(あ)く痛み
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あきらめぬ電話のベルが春の風邪
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よちよちが春田に指のアースする
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竹の子の返す踵(きびす)に見つけらる
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乳牛のゆさりゆさりと春を食(は)む
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蹴りあがる蝌蚪(かと)がこの脚見てくれろ
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袖を得て春風踊る物干し場
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青梅のいのち舗道に弾ませり
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ルージュ引くバックミラーの冴返(さえかえ)る
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春風の「ねこふんじゃった」運び来ぬ
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巻き戻すうすくれないの春の夢
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逆上がりする影遅日（ちじつ）の置き忘る
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身を起こす春野（はるの）くらりと無重力
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｢無我」と書くチョークの折れて冴返る
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春の夢吾子（あこ）より洩(も)るるふふふふふ
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ヴァリトンの恋は魔法さ牛蛙（うしがえる）
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我が顔に一泡ふかせ蝌蚪(かと)潜(もぐ)る