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タンポポの綿こぼしゆくランドセル
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風折れの梅が香を地に嗅がしむる
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花目覚む一弁ずつの伸びをして
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まろび入る落花一片自動ドア
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陽の触れて梅の岩戸の開く痛み
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剥(は)がれ落つ今この時の薔薇の艶
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ひと鉢を蓮(はす)の紅白昇らせり
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後ろ手の紅葉落ち葉のまわりだす
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ひいらぎの昨夜(よべ)の吐息を咲かしむる
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眼裏(まなうら)に睡蓮の白しまい込む
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向日葵(ひまわり)のあんなにもうちひしがれて
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地下鉄に落花(らっか)のついてくるつもり
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くすぶれる妬心（としん）は蒼(あお)き冬薔薇(ふゆそうび)
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分譲の文字の溺(おぼ)るる葛（くず）の花
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人に夢はかないと読む返り花
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黙殺の棘（とげ）削ぎ忘る冬薔薇（ふゆそうび）
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藤房(ふじふさ)に蜂の狂乱ぶら下がる
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くちなしを一枝（いっし）折る罪闇(やみ)に捨て
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ヘッドライトつつじの三色(みいろ)起こしゆく
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ドアノブにだあれもいない芹（せり）の束(たば)