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まなじりの戻りきれなき雪女
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自販機の野路にごとりと冬の声
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まなびやの窓に結晶爆ぜる雪
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小米雪(こごめゆき)まつ毛に乗りておおきなる
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熱燗の片足触るる奈落の戸
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(やや)のぞく不思議の国の初鏡
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爪先(つまさき)に冬日乗り来る自動ドア
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自動ドア出でて飛雪(ひせつ)の横っ面
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熱燗の烏賊徳利(いかどっくり)の身をよじる
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北風の遊び始めし紅き(まり)
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凍雲(いてぐも)の光こぼるる砂時計
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こっくりと冬日うなじを倒しやる
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船酔いの寒気(かんき)にひらく(おの)(えら)
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ポケットに手と手をつなぐ冬銀河
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踏み出だす今日という日を雪の朝
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瞳孔どうこうがしぼりきらるる雪の朝
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ネクタイのしわしわ眠る冬日向
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ころびたる深雪みゆきにしばし身をあずく
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ため息の白きに我に返りたる
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遅れ来て傘の時雨しぐれをひと振りに